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小さいおうち :: 2013/12/12(Thu)

中島京子「小さいおうち」文春文庫
直木賞作品、そして来月映画公開の一作。
昭和の頃、小学校卒業後に女中として東京に奉公にあがった女性が女中時代を振り返ってノートに書き付けていた話を軸に進みます。
古き良き懐かしき昭和ちっくなほのぼの話と思いきや、さりげなくあちこち気になるポイントがあってトゲのように違和感が。

主人公タキの奉公先の一家も、悪い人ではないんだけど、……みたいな違和感が所々散りばめてあって。「なんてヒドイ奴らだ!」って程ではないんだけど、無神経なところがたまにある。
ただの良い話でもないし、ドラマのように激しい波風のある訳でもないのに、良い話っぽいのに凄くちくちくする。凄いなあ。上手いなあ、と感心することしきり。
もう少しこの人の本読んでみよう。

作中で謎が一つ残るようになってて、そこをあれこれ考えてみたけどネタバレになるのでこっそり。




時子奥様の不倫相手が遂に出征する事になり、最後の逢瀬とばかりに奥様が出かけようとする。
実は既に近隣というか奥様の一人息子、坊ちゃまの通う中学校で奥様の不倫は知られているというのもあり、タキは奥様自ら出かけたら人目に付くと、奥様の不倫を知っていると、それが噂になっていると、踏み込んだ発言で時子を留める。
代わりに自分の言う内容の手紙を書くように告げ、自分がその手紙を不倫相手に渡して来る、それで相手が来なければそれまでだと思ってください、と言う。
そして翌日、奥様と不倫相手は無事最後の逢瀬を遂げる。

然し後にタキの遺品には未開封の、あの時の時子奥様の書いた手紙が……。

手紙未開封なのに何故不倫相手と奥様はあの日会う事が出来たのか、と言う謎が残ります。


手紙の内容は、「この時間に家に来てくれ」というもの。そう書けと言ったのはタキ。
なので、タキは手紙を渡さずに、不倫相手に口頭で伝えたものと思われる。
何故そうしたのかがそもそもの疑問になりますが、つまりタキを出し抜いてタキの指定したのと違う時間を書いた手紙を奥様が書くのではないか、とタキが疑う、と言うか時子が自分への信頼を失っているのではないかと恐れていたというか、時子を試したという気持ちがあったのではないかと思います。
自分に用事を言いつけて午前とか夕方とかに時間のかかるお使いを頼んで、その時間に逢引するのではないかと。
でも時子はタキを疑いもせずに、タキの言った通りの内容の手紙を書いた。
だから翌日不倫相手はタキの指定した通りの時間にやって来た。

そして何故タキが時子を試すような事をしたのかと言うと、タキと時子の関係は女中と奥様でありながら、傍から見ると百合ップルの如きであり、タキは自分では気づいてない振りをしているけど、奥様の仲良しの友人は既に分かっている。
タキが奥様の不倫に気付いた頃悩みに悩んで奥様の友人に打ち明けかけるのですが、話半ばにしてその友人は、タキが悩んでるのは奥様の不倫という不道徳さについてではなく、時子へのタキの想い故にであると悟っているらしき描写が。
最初はタキが想いを寄せているのは不倫相手の男性の方じゃないかと思ってたんですが(そういう風にミスリードしてある)、ここで「そうではない」と判明して、その「タキと奥様は一心同体と思っていたのにそうではなかった」感が、謎の未開封の手紙への伏線になっていくのだと思うんですが……。

多分この解釈で正解じゃないかと思うんですが、とにかくこの手紙の謎が気になって読み終わってから時間の空いた時とかずうっと考えてた。
つまりとても心にひっかりのある面白い一冊でした。
  1. | comment:0
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